宇宙・深海

天の川銀河の中心を低エネルギーガンマ線で“直接撮像”。気球実験で世界初

JAXAなどの研究グループが、天の川銀河の中心から届く低エネルギーのガンマ線を、光学望遠鏡と同じ原理で直接撮像することに世界で初めて成功したと発表しました。読んでいて、地味に見えてじつはすごい話だと感じたので紹介します。

対象は150〜600keVという、1MeVより低いエネルギーのガンマ線です。この帯域は精度の高い撮像法がなく背景雑音も大きいため、「MeVギャップ」と呼ばれる未開拓の領域でした。これまでは全天の雑音とわずかな信号をモデル化して推定する、間接的な方法に頼るしかなかったそうです。

使われたのは、電子の飛跡まで追える「電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)」。2018年にオーストラリア中央部から打ち上げた大気球実験「SMILE-2+」で約1日観測したデータを解析し、銀河中心方向からの有意な信号を画像として捉えました。従来のコンプトンカメラでは点の光源も円環状に広がってしまうところ、ETCCでは一点に集まる、という説明がわかりやすかったです。

得られた陽電子消滅のガンマ線は、これまでの観測と誤差の範囲で合いつつ、強度は約2倍。理論値より数倍強い放射がより確かになったことで、暗黒物質や原始ブラックホールなど未知の起源の検証も期待されるといいます。成果は2026年8月に米国物理学会の論文誌に載り、NatureのResearch Highlightでも取り上げられたそうです。

感度を上げた次の実験「SMILE-3」も、2028年に予定されている豪州での気球実験の候補として準備が進んでいるとのこと。「推測する科学」から「見る科学」へ、という言い方がとても印象に残りました。

出典:JAXA(宇宙航空研究開発機構)

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